アレルゲン免疫療法
アレルギー性鼻炎の3大症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまりです
アレルギー性鼻炎と付き合っていく上で、原因となるアレルゲンを避ける「抗原回避」が基本となります。そのうえで症状がある場合には、内服薬や点鼻薬を併用した薬物治療を行います。薬の効果が乏しい重症型の場合には手術療法の選択もあります。
アレルギーとは、各個人の中で完成した体質の問題であり、生じた症状に対して対処していくことが基本となります。対して、アレルギーの反応を抑えるように体質を変えるような治療があり、それがアレルゲン免疫療法というものになります。
アレルゲン免疫療法は、注射(病院)で行う皮下免疫療法と、口の中に投与(自宅)で行う舌下免疫療法があります。
皮下免疫療法 | 舌下免疫療法 | |
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投薬方法 | 皮下に注射 | 舌下に投与 |
投与する場所 | 医療機関で、 医師のもとで実施 |
自宅で服用 (初回投与のみ医師のもとで服用) |
痛み (注射による) |
あり | なし |
治療に対する患者さんの理解 | 必要 | 皮下免疫療法より詳しく必要 |
舌下免疫療法(SLIT)
金曜日午前、土曜日午前にご相談いただけます
根本的な治療が期待でき、重症化を抑制する治療選択として、舌下免疫療法(SLIT)が一般の診療所でも行えるようになりました。当院では、大阪医科薬科大学のアレルギー外来で長年免疫療法に関わってきた医師が在籍しており、金曜日午前、土曜日午前にご相談いただける環境が整っております。現在、保険診療内で行える抗原はスギとダニの2つとなります。
投与方法
当院では、スギ花粉用「シダキュア」とダニ用「ミティキュア」の2種類を使用しております。舌の下に入れた状態で2分間維持した後に飲み込むという方法で、これを1日1回、3~4年間毎日服用します。
初回は、長期間にわたる治療となりますので、説明用紙などを用いた説明を十分に行ったうえで、院内で治療を開始します(初期量)。その後、1週間後に再診いただきます。初期量を使用した1週間で、大きな副作用がないことを確認したうえで、維持量に増量します。維持量で副作用がない場合は、通院頻度は月1回(オンライン診療も可能)となります。
- ※スギ花粉治療の場合はスギ花粉非飛散期に初回投与を行います。
(スギ花粉飛散期はアレルゲンに対する患者様の過敏性が高まっている場合が多いため) - ※初回投与時は、投与後30分間は副作用などの確認のため院内にてお過ごしいただきます。
治療の効果
治療の有効率は、約6~7割とされており、1年継続で症状が約3割減少、2年以上で約5割の症状になると報告されています。症状の軽減に加えて、花粉シーズン中の投薬内容の減少にも効果が期待できます。終了後も2年は効果が持続するとされます。
治療適応は5歳以上で、スギもしくはダニアレルギーの確定がされている方。βブロッカー薬使用中やコントロール不良な重症喘息、開始時に妊娠している方は治療できません。
スギの長期効果 | ||
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1シーズン目 | 32.1%改善 | |
長期投与 | 2シーズン目 | 45.1%改善 |
3シーズン目 | 46.3%改善 | |
投与終了後 観察期間 |
4シーズン目 | 45.3%改善 |
5シーズン目 | 34.0%改善 |